2011年5月9日月曜日

日本人を温かく迎える英国の街、困る観光客のため日本語表記の看板で案内。

伝統と品格のある国として、親しみを持つ日本人も多い英国。
飛行機で12時間前後と決して近い距離ではないが、2009年には約25万人の日本人観光客が訪れている。
そんな英国にあるコッツウォルズという街をご存知だろうか。
ロンドンから北西に電車で1時間半というこの場所は、丘陵地帯に広がる古き良き伝統的な街並みが味わえる人気観光スポットなのだが、
そこでよく目にされていたのが、行き先に困り右往左往する日本人の姿だった。
これを何とかしようと、駅長の発案で地元の駅に日本語表記の看板がお目見えし、日本人観光客からも喜ばれているそうだ。

コッツウォルズは東京都と同程度の広さに伝統的な建物やのどかな自然が広がる場所。
その雰囲気に魅せられ、特に日本人女性の間で人気の観光スポットとなっている。
ここには毎年「約5万人の日本人が訪れる」(英紙デイリー・エクスプレスより)こともあり、地元の人たちにとっても日本人観光客は大切な客として歓迎されているようだ。

そんな日本人観光客の多くは、電車を利用して「コッツウォルズの北の玄関口」と言われるモートン駅に降り立つが、
いつの頃からか駅長のテレサ・シーセイさんは、困っている日本人が少なくないことに気が付いた。
無事に電車を降りたものの、どこに何があるのか分からず、駅でオロオロとしている人が目についたという。
たいていの人は切符売り場の職員に道をたずねるものの、この駅にいる職員は「1人だけ」。
せっかく多くの日本人がやってきても、対応の限界を感じたシーセイさんは、あるアイデアを思い付いた。

シーセイさんが考えたのは駅に着いた日本人が行き先に困らないよう、日本語表記の看板を作ろうというもの。
英国内の鉄道駅にはほかにも日本語の案内板が設置されているところはあるが、モートン駅ではそれまで用意されていなかったため、鉄道会社もこのアイデアに賛同。
資金を確保したシーセイさんはグロスタシャー州観光局のクリス・ディーさんに協力を依頼し、看板デザインや日本語訳に協力してもらったそうだ。
そして英語と日本語が書かれた、バス停やタクシー乗り場、トイレなどの案内板が完成し、昨年10月からモートン駅に設置。この効果はすぐに表れ、
「日本人観光客からも好評」(英地元紙コッツウォルド・ジャーナルより)だという。

シーセイさんは「ちょっとしたサインだけど、多くの意味がある」(英紙デイリー・ミラーより)と、日本語の看板設置に手応えを感じている様子。
地元広報関係者も「多くの日本人が看板を利用できるなら、いいイニシアチブだ」(コッツウォルド・ジャーナル紙より)と語っている。

円高傾向が続いている今、コッツウォルズの関係者たちはさらなる日本人観光客の訪問に期待しているようで、
州観光局が運営するコッツウォルズ観光サイトも日本語で充実した情報を提供している。
英国への旅行を予定している人は、伝統と住民の温かい気持ちを感じられるコッツウォルズにも足を伸ばしてみてはいかがだろうか。

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